2.部会標準化活動

2.1複写機部会

複写機技術分科会

倉恒雅仁

 

(1) 1998年度の標準化活動

複写機部会では、複写機に関する標準化活動は複写機技術分科会が担当している。

1998年度の当部会の標準化活動は前年度からの継続検討事項であるJBMS-8(静電複写

機仕様書様式)の改訂実施がある。

しかし、当分科会では通商産業省(通産省)よりエネルギーの使用の合理化に関する法

律(省エネ法)改定のための調査依頼を受け、この調査活動、省エネ法の対応を優先し、

標準化活動は、省エネ法の対応が終わったところで再開することとした。

これは、1997年12月に京都で開催された、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)に

おいて、温室効果ガスの排出削減目標を定めた「京都議定書」が取りまとめられたこと

を受け、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)が改定されることによる。

省エネ法最終取りまとめが12月無事終了し、法律の公布を待つ段階にきていること、

エネルギースタープログラム(複合機)が2月に告示されたこと等、活動が一段落して

きており2月より、標準化活動を再開した。

 

(2)複写機技術分科会としての成果

(2−1)省エネ法

省エネ法は、トップランナー方式の採用という大幅な改定となった。当分科会は通産

省より”複写機のエネルギー消費効率向上対策分析調査”の委託を受け、「複写機のエ

ネルギー消費効率向上対策分析調査委員会」を設け、省エネ法改定の基礎データの収集

作業等を開始した。

活動の概略:98年4月に委員会を発足、9月まで調査活動をし、計6回委員会を開催した。

調査は、「複写機の省エネルギーに関する調査」と「複写機のエネルギー消費効率改

善に関する調査」を行い、調査結果に基づき下記の提案をおこなった。

・対象機器からカラー機、複合機を対象外とし、サーフ定着採用機は特殊品扱いと

する。

・区分は紙サイズ、および10cpm毎の区分とする。

・目標値は改善率 平均で30%強となる目標値とする。

これを元に、通産省 省エネルギー対策課にて基準案を作成、総合エネルギー調査会

省エネ基準部会複写機判断基準小委員会で4回にわたり審議され、ほぼ当委員会からの

提案内容の基準案が承認された。

これは、技術分科会会員の複写機判断基準小委員会委員への説明、省エネルギー対策

課との協議等の当分科会の努力によるところが大きい。

尚、活動の詳細については、平成9年度新エネルギー等導入推進基礎調査 「複写機の

エネルギー消費効率向上対策分析調査」報告書にまとめて、報告している。

(2−2)エネルギースタープログラム

複合機基準は米国では、97年4月1日より適用になっているが、米国での見切り発車の

感が強く、日本企業は日本で適用が遅れていることもあり、参加を控えてきた。

しかし、98年9月 JBMA提案の拡張性のあるデジタル複写機が複合機基準の対象になり、

また国内においても、99年2月18日官報にて複合機基準が告示され、各社事業者登録を

申請をしているところである。

これは当分科会による再三にわたる通産省への働きかけにより実現したもので、当分

科会の努力によるところが非常に大きい。

(2−3)標準化活動

省エネ法、エネルギースタープログラムの改正が一段落し、懸案となっているJBMS-8

の改訂作業を開始した。特にカラー複写機、デジタル複写機に対する仕様書の標準化の

要望が強いため、この2つを優先させて作業を開始した。

 

(3)課題

省エネ法では、今後複合機が対象機器なることが予想される。複合機は、他業界と連

携して検討する必要があるため、当分科会内で先行して検討を進める予定である。

エネルギースタープログラムは、複合機基準の国内での早期実施を最優先させたため

当分科会としては細部の修正が必要と考えている。従って今後も通産省を経由して米国

環境保護庁へ日本の要望を粘り強く働きかけていくつもりである。

省エネをはじめとする環境対応、機器のデジタル化に伴う他工業会との連携の強化な

どグローバル化、ボーダーレス化に対し、今後事務機械工業会のはたす役割は重要で非

常に大きい。